- 2021-09-18 Sat 14:17:11
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Photo by HEALTHY ©️2021 DIGINNER GALLERY
様々な場所に赴き、その土地特有の場を読み、得る「気」のようなもの。
それを取り入れて生まれる作品は、その場限り唯一無二のもの。
今年も各所で作品を発表し続けたことで、後期を迎える前にイメージが枯渇し、即興しようにも何もイメージが降ってこない。何か色濃く土着的な文化が残っている場所はないか?我々は急遽北海道のアイヌ村を訪ねることを決めた。
二日間で廻れる場所は限られている、我々は千歳空港から東西南北2時間圏内で行ける場所を巡った。
アルテピアッツァ美唄→モエレ沼公園→支笏湖→洞爺湖→オロフレ峠→登別海岸沿いを走って、今回の目的地であるアイヌ村が現存する平取町二風谷に到着した。
アイヌ文化博物館を観覧した後、斜向かいに位置するアイヌ村コタンを案内してもらい(経緯は省略する)幸いにも、実在するチセ(アイヌの伝統的な住居建築)の中へ入れてもらえた。電気を使わないので昼間でも真っ暗、そこでは毎月二回カムイへお祈りを捧げる義式が行われるそうで、中央に炉があり、熊の皮が敷かれ、周りにはチセ、その他の祭祀具が無造作に並んでいた。さっきまで博物館でショーケースに入っていたコレクションが、そこでは煤に覆われ、なんだかとても生々しい。大岡は灰の中に手を入れたり、熊の毛を摩ったりと、あらゆる方法で場読みを行っていた。ここに着くまでに辿った場所でも手応えはあったようだが、ここではそれを超える確かな「気」を得たようだ。
場読みに成功した大岡は残りの三日間で一気に制作に取り組んだ。1日は下地づくりに費やしたので、実質2日間で一気に仕上げたのである。
外気温が25度を下回る肌寒い雨の日に様子を伺いに行くと、ギャラリーの中は熱気で満ちていた。空調は23度、普段なら寒く感じるはずがまるでサウナにいるかのよう。
すべてを出し切った本人は、憔悴した状態でボーッと作品を眺めている。体中に飛び散ったインクが返り血のようにも見えて、なにかを解体し終えたブギーマンのようにも..
展示会が始まると、会場吹き抜けにランダムに吊るされた色々の布が迎えてくれる。
ぶつかり合い、溶け合い、混じり合い、繰り返し破壊される色の束。表も裏もそれぞれの表情で語りかけてくる。
また今回は石膏を用いた作品も多く手掛けた。会期終了までに仕上げる予定であった熊のカムイを表現した石膏作品は、残念ながら仕上げることはできなかったが、年内には完成する予定なので機会があれば是非ご覧いただきたい。
このように、期間中は毎日制作しながら、徐々に作品を増やしつつ、階段から2Fまで構築していったので、何度も足を運んでくれたお客様には大変感謝しています。
後期インスタレーションは、来年3月宮崎県立美術館にて行われる展覧会の礎となり、より凄まじいスケールとなって披露されることでしょう。
このような展示はギャラリーとしても今後中々できないので、アーカイブ資料として冊子に纏める事にしました。
月内には完成予定で、小部数ですが、来月のポップアップやオンラインショップ等で販売する予定です。
また進捗ありましたらギャラリーのインスタなどで発表いたします。
最終日、巨大クラッカーを放ってお祝いしました。「生まれてきてくれてありがとう。」
大岡弘晃 個展「それはいのち」ご来場いただき誠に有難うございました。
管理人 鈴木
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